
個人的に気に入って使っているトラックボール”HUGE”
今回はそのHUGEを改造してさらにボールの滑りを良くしようとしてみました
・どんな改造をするの?
トラックボールの球を支えている支持球という部品を
純正の人工ルビーからジルコニアセラミックの球に交換します
それによって球の摩擦が減って操作がヌルヌルになる
という情報をネットで見つけて試してみたくなりました
購入したジルコニアセラミックの球はこちらになります
純正のルビー球と同じ2.5mmのものを選びましょう
ちなみにG10というのは球の精度の等級のことで、低くなるほど精度が良くなります
支持球にはそこまで高い精度は必要ないと考えてG10を選びましたが
もっと高精度の球が欲しい方はこちらのG5のものもあります
・どうやって摩擦が減ったか判断するの?
測りとものさしを使って簡易測定します
まずはこのように測りの上に一円玉を重ねた棒を置いて0gに設定します
トラックボールの方には
ボール部分に80mm部分が重心となっているものさしを両面テープで貼り付けます
こちらのものさしの150mm付近を測りの上の棒に押し付けて
ボールが動いたときのg数を静止状態から動かすための摩擦、静摩擦として測定します
ものさしの長さもあるので、その値が静摩擦そのものではないですが
同じ方法で測定するのであれば摩擦の差の目安にはなるはずです
改造前のルビー球の状態では静止状態から動かすときに必要な力は
3gでした
90度方向を変えて上方向でも図りましたが同じく3gだったので
方向によって差はないものと考えられます
これがどれだけ改善されるか楽しみですね
ちなみに潤滑材やコーティング剤などはつけておらず
布で掃除した後の値です
1年程使用しているものなので、新品の頃よりは劣化しているかもしれません
・改造方法
まずはボールが入っている部分2本のネジと裏面の7本のネジ
合計9本のネジを外します
このHUGEでは普通のプラスネジでした
ネジが外れたら上下にカパッと開きます
コードが繋がっているので慎重にゆっくり開けて下さい
コードを抜こうとしましたが固くて壊しそうだったので
このように180度カバーを回転させることでコードをつながったまま作業することにしました
ルビーの支持球を取り外すネジを隠している
エンコーダーの基盤を外しましょう
銀色のネジ2本で止まっています
基盤を外すと透明のレンズが出てきます
こちらは乗っているだけなので手で引っぱるだけで外せます
レンズを外したら
いよいよ支持球を固定している部品のネジにアクセスできます
ですがそのまま外すとルビー球がどこかに飛んで行ってしまう可能性があるので
養生テープやマスキングテープもしくはセロテープなどで支持球を貼り付けて固定しておきましょう
いよいよ支持球を固定している3本のネジを外します
ネジを取ってカバーを外すと、ルビー球とご対面です
手垢などが挟まっていてちょっと汚かったです
ルビー球をジルコニアセラミック球に交換しましょう
この後元通りカバーを付けて、一度ちゃんと支持球がはまっているか確認しましょう
できればボールもはめて動きを確認してください
後は元通り戻すだけです
支持球のカバーのネジは戻しにくいので
磁石付きのドライバーを使うのをお勧めします
・改造後に摩擦は減った?
改造前と同じようにものさしを貼り付けて測ってみましょう
あれ?
増えとるやんけ!
改造前3gに対して改造後7g
4g抵抗が増えています
ちなみに90度ボールを回転させて上方向でも測ると
そちらは5gでした
でも抵抗が増えたことには変わりありません
静止状態から指で少し動かそうとしたときも
以前よりも引っかかり感が強くなった気がします
・何でこんな結果になったのか?
原因としては支持球の個体差、使い込みによるアタリが付いていなかったことが考えられます
ちなみに少し調べたところ
ルビーの摩擦係数は0.15、ジルコニアセラミックは0.20なので
素材的にルビーの方が滑りやすく
モース硬度もルビーが9ジルコニアセラミックが8くらいだそうなので
ルビーの方が硬くて摩耗もしづらいはずです
ルビーからジルコニアセラミックに交換してより滑りやすくなったということは
摩擦係数の高い個体のルビーに当たったか、形や取り付け位置のせいで摩擦が強くなっていたのかもしれません
2022/12/12 追記
2か月後に再度同じ測定方法で静摩擦を測ったところ
セラミックでも縦横共に3gとルビー同等の結果になりました
手の油などで滑りが良くなったんだと思います
そしてボールを素早く動かすとルビーの時より明らかに勢いよくボールが回転するので
静摩擦は同程度でも動摩擦の方はセラミックの方に分があるのかもしれません
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